
筑波大学
高等研究院(TIAR)
国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)
中島研究室


研究室概要
心理学とテクノロジーでメンタルヘルスの問題を解決する
私たちの研究室は、2023年7月から筑波大学 高等研究院(TIAR)/国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)でスタートしました。前職の国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センターで培った認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy:CBT=考え方や行動のくせを見直して、心身の不調の改善やウェルビーイングの向上を支える方法)に、生成AIや最新テクノロジーを組み合わせ、メンタルヘルスの支援をどなたでも使いやすい形で社会に広げることを目指しています。
私たちの強みは、国内の臨床心理学系の単独研究室としては最大級の体制で、臨床・研究のプロが常勤でそろっている点です。臨床心理士・医師・看護師の資格を持つ研究員が複数在籍し、臨床心理学・医学・情報科学を融合した研究を日々進めています。不眠症の認知行動療法(CBT-I)については、国内の研究機関として最多のセラピストが在籍し(2025年9月現在)、提供体制を整えています。
研究環境も、世界トップレベルの研究を可能にする設備を整えており、AI解析用の高性能ワークステーションや、視線・皮膚電位などを計測するセンシング機器を完備しています。これらの最新機器を用い、CBT実施中に起きる心身の変化を多角的(マルチモーダル)に捉える取り組みは、世界的にもまれです。
さらに、国内の医療機関と連携した臨床研究を進め、実際の患者さんにご協力いただきながら、より効果的で安全な方法を検証しています。加えて、米国ワシントン大学をはじめ海外の研究機関や企業との共同研究も活発で、国際的なネットワークの中で最先端の知見をいち早く取り入れ、世界水準の研究に挑戦しています。

研究プロジェクト

-人間拡張技術を活用した
心理療法-


-遠隔心理療法-

-非言語データから心理療法の
解析モデルを確立する-

-看護師さんの
メンタルヘルス支援-

-看護師さんの感情・認知の評価と支援方法の確立-


-心理療法中の言葉から
心理療法を評価する-

-精神科を受診する
子どもの支援ニーズ調査-

睡眠研究

-睡眠障害データバンク-

-心理療法を"実装"する-


にアプローチする

-夜型の問題に対する
遠隔心理療法-

認知行動療法を実装する

効果的な介入とは

コミュニケーション

-心理療法のデータバンク-
メンバー

中島 俊
Shun Nakajima筑波大学 高等研究院・国際統合睡眠医科学研究機構 主任研究員
博士(医学) ・臨床心理士・公認心理師
准教授https://researchmap.jp/shun.nkjm
【経歴】
茨城県常総市生まれ
2008年 北海道医療大学大学院心理科学研究科修士課程臨床心理学専攻 卒業
2008年-2010年 医療法人社団玄洋会北海道メンタルケアセンター 常勤心理士
2010年-2014年 東京医科大学睡眠学寄附講座 助手
2014年 東京医科大学大学院医学研究科・臨床研究系専攻博士課程 卒業
2014年-2015年 東京医科大学睡眠学寄附講座 助教
2015年-2017年 医療法人社団絹和会睡眠総合ケアクリニック代々木 主任心理士
2017年-2018年 帝京大学文学部心理学科 助教
2018年-2019年 帝京大学文学部心理学科 講師
2019年-2023年 研究開発法人国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター 臨床技術開発室長
2023年-2025年 筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構 准教授(PI)
2025年-現在 筑波大学 高等研究院 国際統合睡眠医科学研究機構 特任准教授(PI)
【受賞歴】
2013年 日本ストレス学会機関紙 ストレス科学 年間最優秀論文賞(筆頭著者)
2014年 日本行動医学会内山記念賞(年間最優秀論文)(第2著者)
2022年 日本認知・行動療法学会第48回大会ダイバーシティ推進ポスター賞(銀賞)(責任著者)
2024年 Middle Career Distinguished Researcher Award, Society of Behavioral Sleep Medicine
【代表者として進めている研究】
・科研費基盤B:人間拡張技術による次世代の心理療法の開発と実装
・JST創発的研究支援事業:自律型AIエージェントによる高精細心理療法の実装
【臨床心理的課題に関する研究】
臨床の中でも特に心理療法における課題について問題意識があり、責任著者として心理療法におけるセラピストの自己開示の倫理的位置づけや心理療法におけるインフォームド・コンセントに関する論文を刊行しました。
また、さまざまなバックグラウンドを持つ方がともに手を取り、社会課題を解決することが臨床心理的支援の発展には欠かせないという思いから、企画者として市民・当事者・各種専門家が共創し,インクルーシブな支援を実現するというシンポジウムを行いました。

【研究をはじめたきっかけ】
研究よりも教育に興味があり大学院に進学したのですが、当時の指導教員に研究の楽しさを教えてもらったことがきっかけです。色々な知識を身に着け、色々な人と意見交換し、医療や社会の課題解決に向けて新たな知見を積み重ねていくという研究活動そのものがとても魅力的だなと感じるようになりました。
【趣味】
海外旅行、ピアノ、猫
日本とは全く違う場所で、公共交通機関を使ったり、地元の人しか行かないお店に行ったりと、暮らすように旅をするのが好きです。Jazzも好きで、ピアノを弾いたりセッションに行ったりします。猫好きです。

【研究をはじめたきっかけ】
コミュニケーションを目に見えるようにする
もともと「相手の表情や声質から感情を読み取る」みたいなものに興味があったのですが、大学で心理学を学んでいた中でそういった曖昧な要素が数値などで目に見えるものになれば、より生活しやすくなる場面や人がいるのではないかと思い、研究してみたいと思い始めたのがきっかけです。
【趣味】
映画鑑賞・カメラ
映画に出てくる人物ももちろんですが、景色や空気感などを味わいながら鑑賞するのが好きです。カメラは、最近だとフィルムカメラにはまっています。枚数が限られている中で画角を試行錯誤しながら撮るのが楽しいです。

【研究をはじめたきっかけ】
学生時代から、医療従事者が直面するメンタルヘルスや睡眠の問題といった課題に強い関心を抱いていました。そうした問題に対して、適切な対策を講じることの重要性を痛感し、将来はこの分野で研究を行い、少しでも社会に貢献したいという思いがあります。近年、アプリケーションやAI技術の目覚ましい発展により、これらを活用した革新的なアプローチが可能になりつつあります。こうした最先端のテクノロジーを駆使することで、医療従事者の方々のメンタルヘルスや睡眠の質の向上に寄与する、効果的な介入方法を見出せるのではないかと考えています。
【趣味】
ギター演奏(アコースティックもエレキもどちらも弾きます)。 また、最近はウイスキーにはまっています。ジガーカップとマドラーで丁寧にハイボールを作るのが好きです。いつかウイスキーの聖地であるスコットランドのアイラ島に行ってみたいです。

【研究をはじめたきっかけ】
精神障害者の方が、長期間病院に入院していることに疑問を感じたことがきっかけです。精神障害者の方ができるだけ入院期間を短縮し、早期に退院するためには、社会資源の充実が重要であると考え、デイケアのプログラムの有効性の検討に取り組みました。
【趣味】
音楽鑑賞:特にテイラー・スイフトが好きで、近年の東京ドームライブに行けなかったことを後悔しています。アデルも好きです。
海外旅行:ナイアガラの滝、グランドキャニオン、エアーズロックなどの雄大な自然にふれた時の記憶は忘れられません。今は円安・物価高騰で海外になかなか行けないのが残念です。

【研究をはじめたきっかけ】
患者さんとのかかわりの可視化
臨床実践で出会う患者さんとの関わりを学んでいる時にPIである中島先生の講演を聞いたのがきっかけでした。現在は複雑性の高い状況で「何をどのように伝える」ことが行動変容に繋がるのかエビデンスを持って伝えることを目指しています。
【趣味】
デバイス・散歩
最近はデバイスやアプリで自分の情報を客観的に確かめることにハマっています。たくさんデバイスがある中で、それぞれに特徴があって興味深いです。休日は街を歩いたり、自転車で巡ったりしています。

【研究をはじめたきっかけ】
子どものころから日中の居眠りが多く、睡眠について興味を持っていました。大学4年時に睡眠を専門とした研究室に配属され、その奥深さや研究の面白さに魅了されました。病院で看護師としての臨床経験を経て、あらゆる人の健康にとって睡眠が非常に重要で土台になることを再認識しました。患者さんが簡単に睡眠の問題を相談でき、あらゆる看護師が睡眠や生体リズムの知識を当たり前のように活用できる社会を目指したいと考えています。
【趣味】
キャンプ、カフェのモーニングを楽しむこと




香本 円香
Madoka Koumoto客員研究員








研究に関する情報公開
【研究参加についてのお知らせ】
当研究室では、「COMISAの病態解明および治療確立のためのリアルワールドデータレジストリの構築」
という研究課題が筑波大学附属病院臨床研究倫理審査委員会により承認され、2025年4月1日より実施されることに
なりました。
この研究は、不眠症、睡眠時無呼吸症候群、および両疾患が併存する状態(COMISA)の臨床データレジストリの
構築を目的としています。
2010年4月1日から2025年8月までの間に、共同研究機関である医療機関を受診された18歳以上の患者様の
診療情報を利用させていただく予定です。
研究への診療情報利用の停止を希望される場合は、2025年12月までにご連絡ください。この期間を過ぎた場合、
利用停止の希望に添えない場合がございます。
詳細については、下記の【情報公開文書】をご確認ください。
【情報公開文書】
COMISA_optout_20250828
(0.18MB)
資料
各資料はこちら
その他
研究員・学生・研究メンティ・研究生等の受け入れ
【学生の受け入れ】
2024年4月より筑波大学大学院人間総合科学学術院心理学学位プログラム(https://www.human.tsukuba.ac.jp/psychology/)にて、博士前期(修士)・博士後期の学生の受け入れを行っています。DCやPD等の受け入れも可能です。
また中島研が所属するIIISでは、心理学学位プログラム以外にも機関長の柳沢さんがプログラムコーディネーターを務める世界最高水準の教育力・研究力を結集した5年一貫の博士課程学位プログラム”卓越大学院プログラム(https://www.jsps.go.jp/j-takuetsu-pro/)もあります。
中島研が所属するWPI-IIISは世界から目に見える研究拠点を目指す世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)の一つであり、日本を国際的な頭脳循環の一極に位置づけるための活動であるWPIアカデミー”に採択されています。
WPI-IIISに所属する修士・博士の学生はWPIアカデミーの金銭的支援(リサーチアシスタント)の対象となり、すべての学生ではなりませんが、申請して採択された方は研究室の研究に携わりながら修士の学生は金銭的サポートを受けることもができます(DC等の公的資金受給者は対象外)。
また2024年10月からは中島がJST創発的研究支援事業に採択され、その研究プロジェクトのリサーチアシスタントとして博士前期(修士)・博士後期の学生に金銭的サポートを行うことも可能です。
それ以外の獲得した競争的資金を財源としたリサーチアシスタントや研究補助員も募集していますので、進学にあたり金銭的に不安を感じている方は遠慮なくご相談下さい。
【メンティー・研究員の受け入れ】
中島研メンバーが専門とする研究領域について、中島研メンバーがメンターとして研究の指導を行うことも可能です。これから研究を行いたいと考えているけど研究のノウハウに不安を感じている方などおりましたらご相談下さい。
研究領域に限らず、メンターとして競争的資金獲得のサポートも行っています。どちらも共同研究等が前提になります。無給で研究に携わりながら研究を学ぶ研究生等も受け入れ可能です。
アクセス
筑波大学 高等研究院(TIAR) 国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)
〒305-0006茨城県つくば市天王台1丁目1-1 総合研究棟D325号室
TEL:029-859-1858
メールアドレス:cbt-bsm(at)behavior-science.jp ((at)を@に変えてください)